債権回収
支払督促とは何ですか?
債権者の申立てにより,その主張から請求に理由があると認められる場合に,支払督促を発する制度です(民事訴訟法382条本文)。
同制度を利用すれば,債務者が支払督促を受け取ってから2週間以内に異議の申立てをしなければ仮執行の宣言を付すこととなり(民事訴訟法391条1項本文),債権者はこれに基づいて強制執行をすることができます。
また,書類審査だけなので,裁判所に行く,または弁護士を行かせる必要がなく,通常訴訟を提起する場合に比してスピーディーな解決を期待することができます。
もっとも,同制度はオールマイティーな制度というわけではありません。まず,請求できるのは,金銭の支払又は有価証券若しくは代替物の引渡しを求める場合に限りますので(民事訴訟法382条本文),どのような請求についても支払督促を申し立てることができるわけではありません。
また,支払督促を申し立てることができるのは,相手の住所地を管轄する簡易裁判所(民事訴訟法383条1項)が原則となっていますので,訴訟への移行の可能性(民事訴訟法395条)があることも考慮すれば,債務者が遠隔地に所在する場合は使いにくい制度となっています。
債務者が支払督促の送達を受けた日から2週間以内に支払督促がなされた場合には,支払督促の目的の価額に従い,支払督促を発した裁判所書記官の所属する簡易裁判所又はその所在地を管轄する地方裁判所に訴えの提起があったとみなされる(通常訴訟へ移行される)ことも注意が必要です(民事訴訟法395条)。