労働問題

採用を決める権限がない人に退職願を渡しても会社が退職願を受け取ったことにはならないのでしょうか?

退職願は,退職承認権限のある者が受理したときに,労働契約の合意解約という効果が発生するものです。
そこで退職願を渡した人が退職承認権限のある者かどうかが問題となります。退職承認権限の有無は具体的事例によってことなります。職務権限規程等で明確に定められている場合は争いになりません。

採用について決定権限がないのだから,その人については退職についても承認権限がないのだ,と判断した原審について,採用と退職の承認とは同列には論じられないとした最高裁判例があるため(最判昭62・9・18),採用を決める権限がない人に退職願を提出したからというだけで,必ず撤回が認められるわけではない点には注意が必要です。