裁判所は,売買と賃貸借を区別するに際し,契約書・覚書や領収書などの記載のほか,様々な事情を考慮します。
たとえば,当事者間で授受された金額が不動産等の売買目的物の時価相当額かどうかが重要です。それが目的物の時価相当額に近い金額であれば売買契約の成立が認められやすくなりますが,逆に低額であれば,賃貸借と認定されるおそれは十分にあります。
そのほかにも,所有権移転登記が経由されているか,敷金や賃料を支払ったか,利息の取り決めがどうなっているか等の点について考慮しています(最判昭54・9・6,浦和地判平11・9・24,最判昭45・11・26等)。