交通事故

高次脳機能障害とは何ですか?

頭部外傷により意識障害を負った者が,治療の結果意識を回復したが,意識回復後に認知障害と人格変性を生じ,社会復帰が困難になる行為障害をいいます。
「認知障害」の例としては,記憶障害や集中力障害等の障害が挙げられます。
「人格変性」の例としては,感情が変わりやすい,不機嫌になる,攻撃性が高まる,病的嫉妬をする等の状態が挙げられます。

高次脳機能障害の判断にあたっては,①事故により頭部に外傷を生じたこと,②受傷後に意識障害が生じたこと,③意識回復後に認知障害及び人格変性があったこと及び④第3脳室の拡大や脳の全体的な萎縮がMRIで認められることが考慮されます。

また,事故の前後で,高次脳機能障害が疑われる方の日常生活や就学又は就労の状況がどのように変わってしまったのか,という点が重要になります。
受傷後の意識障害については,半昏睡から昏睡で開眼・応答しないような状態が6時間以上ある場合などには,高次脳機能障害が生じやすいと考えられています。
なお,健忘症又は軽度意識障害が1週間以上続いた場合も同様に,高次脳機能障害が生じやすいと考えられています。
自賠責制度においては,その障害の程度に応じて,1級,2級,3級,5級,7級又は9級に区別されることになります。