労働問題

定額残業代制度とは何ですか?

残業代に相当する金額として,月々固定の金額を労働者に対して支払う制度です。

割増賃金に代えて一定額の手当てを支給する定額手当制と,割増賃金を通常の賃金に含めて定額払いする定額給制とに区別されます。

定額残業代を支払っておけば,会社としては,細かな残業代計算から解放されるというメリットがあります。
定額残業代として認められるためには,①基本給のうち時間外手当にあたる部分を明確に区別し,かつ②労基法所定の計算方法による額がその額を上回るときはその差額を当該賃金の支払い期に支払うことを合意することが必要です(最判昭63・7・14。小里機材事件)。

また,割増賃金に代えて支払う趣旨が明確である必要もあります(大阪地判平12・4・28)。

以上のことから,賃金のうち,残業手当に相当する金額がいくらであるか,その残業手当が何時間分の残業代を含んでいるものなのかをそれぞれ明治して,就業規則や雇用契約書,給与明細などに記載した上,労働者に十分説明しておくことが紛争の予防になります。