離婚問題

内縁関係の相手方が浮気をしました。相手方への慰謝料が認められるケースはありますか?その場合,同居の期間はどのくらい必要ですか?

内縁関係であっても,慰謝料の請求が認められるケースはあります(東京地判平25・6・13,東京地判平24・6・22等)。

なお,裁判例(東京地判平25・6・13)では,約11年にわたって内縁関係であったが,不貞行為やわいせつな写真の盗撮行為などにより,信頼関係を失い,内縁関係を解消した事案において,慰謝料額200万円を認めました。
ただし,内縁関係は,単に同居しているといった事情だけで認められるものではありません。
内縁とは,事実婚とも呼ばれ,社会一般においては夫婦としての実質がありながら,婚姻の届け出を欠いているために法律上の夫婦と認められない関係をいいます。

基準としては,裁判上,以下の4つなどの事情を総合的に考慮されています。
①結婚式を行っているか,長期間(3年以上)同居しているか,
②近所から夫婦と思われていたか,法事など相互の存続の行事へ出席していたか,
③住民票において未届の妻(夫)として登録されているか,
④各種契約書の記載がどうなっているか
(例えば,賃貸マンションに同居している場合で,賃貸借契約書に内縁の妻等と記載しているか等)

したがって,何年同居すれば内縁と認められるかについて,画一的に述べることは出来ませんが,同居期間が3年以上あれば,内縁が認められやすいといえます。
なお,浮気相手に対しても,慰謝料請求できるとするのが古くから一貫した判例です(最判昭38.2.1)。

ただし,内縁関係の場合,婚姻関係の場合と異なり,故意・過失の成立,すなわち,内縁の夫又は妻がいるのを知っていて不貞をしただとか,少し考えれば夫又は妻がいるのが分かったはずなのに不貞をしたということが認められにくいということはあります。
婚姻関係の場合は,戸籍にその旨記載があり,婚姻関係の有無は明らかですが,内縁関係の場合は,そういったものがないからです。