遺言・相続

夫の相続について,内助の功として妻が果たしてきた役割が影響しますか?

遺言がない場合は,その遺言どおりに相続がなされますから,内助の功として妻が果たしてきた役割が影響することはありません。

遺言がある場合,寄与分が認められるかという問題がありますが,この点に関連して,民法904条の2第1項は,寄与分の要件として「特別の寄与」があることを定めています。
「特別の」と限定がなされているのは,被相続人と相続人の身分関係に基づいて通常期待されるような程度の貢献は相続分の定め自体において評価されている(例えば,相続人が妻と子2人の場合,妻の相続分は2分の1,2人の子の相続分はそれぞれ4分の1と多い。)とみることができ,特にこれを相続分の修正要素として扱う必要がないからです。

したがって,内助の功として当然に寄与分が認められ,相続財産が増加するとはいえません。
相続財産を増加させるべきだと考えられるほど,夫に協力したといえなければ,相続財産は増加しません。

なお,寄与分が認められた裁判例としては,相続開始時まで40年以上にわたり家業の納涼に従事し農業経営の支柱となって遺産の維持に貢献してきた相続人に寄与分として遺産の20%を認めたもの(徳島家審昭52・3・14)などがあります。