不動産

父が家を所有しているのですが、他人が所有する土地の上にあり,父はその人から土地を無償で借りています。父が亡くなった後,私は家から出ていかないといけないのでしょうか?

民法には,「使用貸借は,借主の死亡によって,その効力を失う」(民法599条)という条文があります。

具体的事情にもよりますが,土地を無償で借りている場合には使用貸借している,と裁判所は考える可能性が高いです。
そうである以上,民法599条により,あなたは土地を使用貸借できなくなり,土地の上に建物を持っている権限を失った結果,家から出て行かなくてはならないようにも思えます。

しかし,裁判例によれば,建物所有目的の使用貸借の場合は,個人的考慮を重視する必要がなく,建物所有という目的の終了時を契約終了時とすべきであることから,借主が死亡した後も使用貸借は存続し,借主は元の借主の相続人となります(東京地判平成5年9月14日,大阪高判昭和55年1月30日)。

したがって,土地の所有者からあなたに対し,家から出ていくことを求める訴えが提起されたとしても,あなたは家から出なくてもよいと判断される余地は十分にあります。