遺言・相続

遺産の分け方を変えることができますか?

遺産については,相続人全員が話し合えば,自由に分けることができます(民法907条1項)。そして,その話し合いがまとまれば,相続が開始したときから(被相続人(本件でいえば母親)が死亡したときから)さかのぼって,各相続人が相続した財産を取得したことになります(民法909条)。
これを遺産分割協議による遺産分割といいます。

遺産分割については,いくつかその成立を争う方法があります。
例えば,錯誤があったこと等を理由とすることもできますし(最判平5・12・16等)話し合いが相続人全員でなされなかったことや,逆に相続人でない人が相続人であるかのように話し合いに加わっていたこと,さらには,遺産のうち重要なものが含まれずに話し合いがなされたりした場合も遺産分割が無効であったと認められる余地があります。

他に,相続人同士で話し合い,遺産分割がなかったことにしようと決めること(遺産分割協議の合意解除)もできます(最判平2・9・27)。もっとも,この場合,税務上,遺産分割をやり直したことについてさらに課税されることになりますので注意が必要です(相基通19の2-8但し書き)。